「坂本龍馬に学ぶ」

     いまの日本はあらゆるシステムが行き詰まり、もう一度
     幕末に戻ったような状況です。21世紀を生き抜くために
     幕末の風雲児「坂本龍馬」の生き方を学びましょう。
     ここでは、童門冬二氏の著書「坂本龍馬に学ぶ」より、

     
龍馬の生き方について考えたいと思います。


     自己変革の土壌を耕す

      おれは、昨日のおれならず

      「長刀から短刀」「短刀からピストル」「ピストルから万
      国公法」というように、古い武器から新しい武器、新し
      い武器から法律に、変化の象徴を求めながら、
自分
      自身の体質変革
を告げた話である。

 

      龍馬は創造の人ではなく、応用の人

      龍馬の発想は、

      ○すぐれた他人の考えを、そのまま自分のものとする
      ○すぐれた他人の考えを、ふくらませて自分の考えに
        する。
      ○すぐれた他人が、その考えを自ら否定する場合も、
        龍馬が代わって実行する。

      などに分けられるが、いずれにしても龍馬は、「想像力
      の人」ではなく、「応用拡大の人」”第三の道を辿る人で
      ある。他人の考えを応用拡大するには、それ相応のす
      ぐれた他人と出会わなければならない。
      龍馬の一生はその意味で
「すぐれた他人との出会いの
      一生」
である。  

      

      現代における脱藩のすすめ

      会社に帰属していると、自然に社会を見る目もその枠の
      中に限定され勝ちである。自分を掘るためには、時には
      会社の立場と全くはなれてものごとをながめてみることが
      必要。現代の脱藩はものの見方にとどまらない。転勤も
      行動や思想を自由にする。社内派閥から、ときに抜け出し
      てみることも必要。龍馬の脱藩からせめて
「思考の脱藩」
      を学びたい。

 

      半平太の封建思想と龍馬の自由主義

      半平太が最後までフッ切れなかった藩主への忠義は、
      二百五十年余の間、徳川幕藩体制を支えてきた武士の
      思想であった。封建思想から脱しきれなかった半平太と
      
近代的な萌芽を持った龍馬との対照は際立っている。そ
      れはまるで、現代において派閥や人間関係のしがらみ
      から抜け出せないために、その発想もなかなか伸び切
      ることのできない一部のサラリーマンたちへの警鐘のよ
      うにも思えるのである。      


     独創的な人間関係を確立する

     他人の評価を気にしない、気にするのは信じた一人だけ 

      龍馬の自由で創造的な生き方の秘訣の一つに無欲と自
      己否定の精神がある。それは、別の表現をすれば、「他
      人の評価を期待しない」、あるいは「他人の評価など期
      待しない」ということである。他人の評価を期待せず、ゆ
      えに自由に生きた龍馬ではあったが、実は一人だけ、自
      分の軌跡を、少なくとも知っておいてほしいという存在が
      あった。乙女姉である。つねに正しく冷静な判断で維新
      の世を駆け抜けていくことができたのは、
<乙女姉だけ
      はおれの正しさを理解してくれる。おれのやったことを記
      憶してくれる>
という精神のよりどころを持っていたから
      ではないだろうか。激動期を生きるのに自己の所信と行
      動をすべての人に理解させるのは所詮無理な話である。
      言いたくとも伏せておかねば成就しないことも多い。悪し
      き誤解もあえて放置すべきこともある。それでも龍馬の心
      が生涯荒むことがなく澄み切っていたのは、乙女姉とい
      う救いがあったからである。

     

      龍馬を育てた一級品の挫折に人間たち  

      当時の一級品というのは、龍馬会った人物に限っていえ
      ば、例えば勝海舟、松平春嶽、大久保一翁、中根雪江、
      横井小楠、西郷隆盛、土方楠左衛門、後藤象二郎、永井
      尚志らであろう。面白いのは、これらの人々は、人間とし
      ては一流であったが、共通して挫折の経験を持っている
      ことだ。坂本龍馬は、こういう不遇者達に目をつけた。一
      級の人物が、不遇なときに、そのまま黙っているはずが
      ないと思ったからである。一級の人物が、自分の能力を
      伸ばす場を与えられなければ、当然その能力は、不完
      全燃焼現象を起こす。そこへ、たまたま龍馬のような聞
      き上手が現れれば、腹ふくれているこの連中は、とにか
      く自分の考えていることを誰かに伝え、伝えたその誰か
      実行してくれれば良いと願う。坂本龍馬はこの手を使っ
      た。彼がこの時期得たヒントは、当代一流の人物達が、
      世に現す場を失っていたにもかかわらず、
坂本龍馬とい
      恰好の媒体
を得て、自分の持つものを全て龍馬に注入
      したのである。


     経済的視座を重視する  

      討幕には経済闘争の一面があった 

      坂本龍馬の行動の軌跡を辿ってみると、明らかに一つ
      の流れがある。それは龍馬が、徳川幕府を解体再編成
      し、あるいは消滅させて新しい政体を創設する、という
      政体変革闘争に、全生命を燃焼させたことは事実であ
      る。しかし、果たしてその行為を政治的側面からだけで
      見て良いのだろうか。
龍馬の動機はむしろ経済闘争で
      あった
。はっきり言うならば、当時の幕府が独占してい
      た貿易権を、雄藩が奪取しようという闘争であった。龍
      馬の討幕闘争は、明らかにこの経済権能(貿易権と言
      っても良い)を徳川幕府の独占から奪い、解体再編成
      することにあった。

 

      タテ社会からヨコ社会へ  

       海援隊は、いわゆる脱藩者すなわち自由人の集合体
      であると同時に、身分を問わない組織であった。そして
      龍馬の新しさは、この海援隊組織をいまでいう技能別
      の組合、職能別の組合に組織したことである。
      その頃の日本の社会を構成していた幕府や藩というタ
      テ社会に対抗して、
自由な身分を問わない人間達のヨ
      コ組織
を作り出したと言えよう。つまり、海運という事業
      を実現するために、海運に関する知識と技術を持つ人
      間が集まって、日本のために寄与しようという集団を構
      成したことである。   


     自分の魅力を自分で作り出す

     独創的人間関係を培った龍馬の魅力 

        坂本龍馬は幾つかの偉業をなしとげた人物だが、その
      ほとんどが、無資本で行ったと言える。早く言えは、龍馬
      は、彼の偉業のを、ほとんど他人の褌で成し遂げたと言
      える。なぜ、それが出来たのか。それはやはり彼の独創
      的な人間関係主義による。
独創的な人間関係主義とは、

      ○人との出会いを重視する。
      ○出会う人を選ぶ。
      ○人間の一級品主義を貫いた。
      ○二流品、三流品、四流品の人間はほとんど黙殺した。
      ○社内よりも、社外の人脈の設定の妙手であった。しか
        もそれを日本的規模でネットワークを張った。
      ○決して人に執着せず、状況によって人を見限るタイミ
        ングの良さも持っていた。
      ○先輩に優れた人物が多かった(勝・大久保・横井・西郷
        桂など)
      ○他人から社会のためのアイデアを引き出す能力に優
        れていた。
      ○話し上手であったが、並行して聞き上手でもあった。
      ○他人のアイデアを増幅して、実現する機関的実践者で
        あった。
      ○底にいつも市民精神が流れていた。
      ○歴史のうねりに乗ってはいるが、さざなみは気にしない。
      ○エネルギッシュであった。
      ○いつも女に好かれ、女を愛していた。
      ○自己変革を続け、脱皮に次ぐ脱皮を続けた。
      ○剛胆でいつも命がけ。
      ○ヒューマニズムを貫き、自己愛よりも他人への愛を持
        ち続けた。
      ○巨大な未完成品の印象を与えた。
      ○傲慢のように見えるが、実は非常に謙虚であった。

         などであろう。

 

      貫かれていたヒューマニズム、愛

      龍馬には、革命家にあり勝ちな気負い過剰な精神の荒
      みといったようなものがなく、その一生は、
素朴なヒュー
      マニズムと人間愛
によって貫かれていた。つまり、異能
         者とって常識の産物である人情を龍馬は決してバカに
       したり、退けたりはしない。進んでその中に身をおくのだ。
      

      近代的な女性観

      龍馬の女性に対する態度を見ていると、その職業の貴
      賎を問う事はおろか、知能の程度や、容貌の美醜その
      他に対して、一切差別していないことがわかる。
女性を
      
一個の人格として、能力者として尊重している。  


     複眼でものを見つづける   

      複眼で発見した第3の道

      複眼の思想というのは、矛盾する左右の目を統合管理す
      ることである。自分の目でありながら、左と右がそれぞれ、
      別な物を見ている。しかし、それを
自己統一によって管理
      し、両者の調整の中から何かを知り、何かを生むというこ
      とであろう。

      ○片方の目と手で、大政奉還を推進しながら、片方の目と
        手では武力討幕を推し進める。
      ○片方の目と手で、薩摩や長州などの反幕雄藩と密接に
        コミットしながら、片方の目と 手で幕府とも深くコミットする。
      ○片方の目と手で、権力にコミットしながら、片方の目と手
        で反権力と連帯する。     


     理想主義と現実主義の一致

      差別への怒りと実力主義への昇華

      世襲制度により、無能な上士階級が局にあたっている
      が、混乱している日本の状況を打開するため、ことに帝
      国主義列強による日本支配を避けるためには、
身分の
      上下を問わず実力主義
によって人材を登用するという
      のが龍馬の考えだった。

 

       精神的自由の根源は、無欲と自己否定   

       人間が創造的に生きるには、まず、自分の心を束縛か
       ら解き放たなければならない。私欲を持たず、あるいは
       さらに一歩進んで自己を否定し去ったうえで物事を判断
       すれば、
精神は自由に活動し、正しい判断ができる。そ
       のことにより、結果として他人に対する説得力や迫力も
       生まれてくる事になる。

 

       引用参考文献 坂本龍馬に学ぶ(童門冬二 1982年 新人物往来社)

      




100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!